しょうもないや

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剣スロさん推しが『ランスロまたは荷車の騎士』を読んだ話

こんにちは!あめこです!今FGOがとても楽しいです!

わたくし遅ればせながら2017年の1月1日にFGOを始めた勢なのですが、遂に、先日4月21日に人理を修復することが出来ました!やったねみんな!本当にありがとうみんな!!

そんなわたしの近侍(最も信頼をしていて頼りにしているサーヴァントさん)はフィオナ騎士団が一番槍のディルムッド・オディナくんさんなのですが、格好いいとかかわいいとかえっちだ…とか劣情だとかそういったモニャッとした感情たちををまとめて抱いている最推しは何を隠そう隠してもいませんが円卓最強の騎士ランスロットさんなんです。なんでかはわかりません。最初はまったく興味がなかったのですが、気がついたら好きになっていました。不思議ですね。気がついたらフォウくんさんだとかきんぴかの盃だとかをどんどこどんどことささげていました。なんでかはわかりません。誰とも気が付かないうちに乙女のこころを拐す。あいつはそういう男なんだ。知りませんけど。気をつけてください先輩!

 

好きになった史実ジャンルで推しが出来た厄介おたくわたしのすることはひとつ。そう、文献を読むことです。

過去にも歴史ジャンルにはまっては本を読み、本を買い、そのキャラクターの原典に触れてはときめきに死すということを繰り返してきたのですが、やはり今回もそうなりました。わたしの人生におおきくかかわっている某国擬人化ジャンルにはまっていた時期に購入したであろう『アーサー王物語』(トマス・ブルフィンチ著)が手元にあったので、それをまずは読みました。新著であり、また、原典(と呼べるものがアーサー王物語にあるかと言われるとないと思うのですが)からいくつかの話を抜粋したものがこれにあたるのだそうです。

こちらもとても良かったのですが、推しが出来てしまった厄介おたくとしては「推しの活躍をもっと読みたい!」と思いました。手元にあった『アーサー王物語』でもランスロさんはだいぶ大活躍をされていたのですが、わたしは欲がふかいので、「もっとランスロさんの冒険や強さやくるしみや愛をランスロさん視点から知りたい!」と思いました。そして検索などの結果、タイトルにもある『ランスロまたは荷車の騎士』(『フランス中世文学集02-愛と剣と』クレティアン・ド・トロワ著)を読むことにしたわけです。大学の図書館にありました。大学生万歳。

 

 

愛と剣と フランス中世文学集 2

愛と剣と    フランス中世文学集 2

 

 

 

 

というわけでだいぶ前置きが長くなってしまいましたが、ここからはFGOでランスロさんを推しているおたくくんが、『ランスロまたは荷車の騎士』を読んでときめいたり「ア~~~~ぐずやん…好き……」って思ったりしたところなどを、抜粋なども含めつつ箇条書きで書いていきたいと思います。かぎかっこ内が抜粋、うっすらした文字色の部分が感想です。推しだいすきマンとして推しだいすきマンらしい目線と口調とでお送りさせていただきますので、生理的に無理!と思われた方はすみやかにお帰りください。尚、この感想文は腐女子を含む生産ラインでつくられたものになります。

またFateシリーズについては、FGO終章まで、アニメZero全編とZeroドラマCDの湖の騎士の部分、アインツベルン相談室のバサスロさんパート、アニメS/Nディーン版等を履修した程度のひよっこへっぽこ丸です。よろしくお願いします。(2017年4月24日現在)

 

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『ランスロまたは荷車の騎士』時系列順感想 箇条書き

 

<とてもフンワリとしたあらすじ>

アーサー王の王妃であるギネヴィアさんと、円卓の一員であるケイ卿が、メレアガンというわる~いやつに連れていかれてしまいました。それを王妃大好きマンにして円卓最強おとこのランスロット・デュ・ラックさん(最初は身元を隠しています)とサー・ガウェインさん等が助けにいくお話です。ふたりは別のルートで救出を目指すうえにこの物語の主人公はランスロさんなので、ほとんどランスロさん側のはなしが続きます。王妃のためならば、と実利を取りこの時代では罪人が乗るような不名誉なのりものである荷車にも乗ったりします。タイトル回収です。とにもかくにもめちゃくちゃ強い。とにかく強くてとにかくおモテになられます。でもランスロさんは王妃さまのことで頭がいっぱいなので、フラグがたつようでたちません。たってしまったフラグは全てへし折っていきます。なんだかんだあってメレアガンのもとから王妃さまを見事助け出した後、通りがかりのわるいやつによって今度はランスロさんが幽閉されてしまいます。引き離され、お互いが死んだという噂を耳にしたことで王妃もランスロさんも死ぬようなくるしみを味わったりします。そんな中、あるお姫様の助力により、ランスロさんはなんとか塔から抜け出すことができました。そして、ランスロと決闘させろや〜!と喚くメレアガンさんの居る宮廷に舞い戻り、見事メレアガンさんをぼこぼこに。やったぜランスロ!めでたしめでたし!というような流れです。

 

 

ここからが本文抜粋などを含んだ感想になります。

わたし個人としては、FGOのランスロさんはFGOのランスロさんだし、原典のランスロさんは原典のランスロさんだと思うので、齟齬があってもよい、あって当然だと思っています。双方の良いところやぐずなところをまとめて愛でていきたいな~という姿勢です。ぐずなひとは好きです。

 

・一心不乱に王妃を見つめて窓から落ちそうになったランスロさんとそれを助けて窘めるガウェイン卿

いきなりガウェイン卿の話ですまない…という感じなんですけど、ガウェイン卿ってばとてもやさしくないですか?!それまで女の子と楽しくおしゃべりなんてしていたのに、王妃のことで頭がいっぱいなランスロット卿が窓から落ちそうになる(ドジっこですね…)を助けてあげて「どうか気をしずめられよ。神にかけてこんな気違いじみたことはおやめください」と窘めてくれます。圧倒的””おにいちゃん力””を感じますね。ガウェイン卿はそのおにいちゃん力でもって弊カルデアにも来てくださいね。おいもを潰しながら待っていますよ。また、後々のエピソードからもそれはひしひしと感じられるのですが、ランスロさんは王妃さまのことを考えるとほかのことを考えられなくなってしまうタイプのようです。不器用でかわいいですね。 

 

 

・「愛の神によって力を与えられ何事にも大胆になった男」

これは本文にあったランスロさんの描写です。『愛の神』という存在はこの後もたびたび登場してくるのですが、ランスロさんは本当に『愛の神』にあいされている、というか思うがままにされているなと感じます。愛のままにわがままに、僕は君だけを以下略です。愛に生きる男、それがランスロットさんです。

 

 

・「愛の神に屈服してすっかり骨抜きになり、自分自身の存在についての感覚までなくしてしまう始末。彼にはたった一人の女人を除いてなにひとつ思い浮かばずその女人のために他はいっさい忘れ果ててしまった。」

ギネヴィアさんだいすきマンだ…。FGOのストーリーで、美女をまえにして脳のおみそがホンワカになってしまっていた男と同一人物とは思えない…。(ランスロさんがうつくしい女性を褒め、やさしく接している、というのは、騎士として女性を敬い大切にする、という性格が拡大解釈されたものだとわたしは解釈しています。あと型月世界の英霊の霊基には、世間一般に持たれているイメージが作用するとのことなので、ランスロさんに対する一般的なイメージであるだろうNTR男・女好き・人妻好きというあたりの属性が付与されてしまった故のあの性格なのではないかな、と考えています。

 

 

・王妃への物思いに耽りすぎて、浅瀬を渡る際に浅瀬の番人の叫ぶ忠告を三度も無視する。いいかげんにしろと斬りかかってきた番人に対してなにしとんねんとおこる。

ぎゃ、逆ギレだ~~~!!あとまた王妃さまのことで頭がいっぱいになっている!!彼はこの後も、こういった王妃さまについての物思いに耽る、ということをよくやるんですけれど、その度にほかのことが目に入らなくなっているのでかわいいなって思います。ちなみにこの守衛さんのことはなんなくボコボコにしてしまいます。八つ当たりかい。つよいね。

 

 

・旅の途中で、宿を提供してくれるけどその条件として一緒に寝ることも約束させようとしてくるウルトラハイパー美女があらわれた!どうする?

→一緒に寝るのはご容赦くださいと申し出る。お互いに一歩も引かずどうしてもらちが明かないと悟ったので、しぶしぶおうちにお邪魔することにする。いろいろと事件も起こるが、でも結局むすめさんには手を出さない。むすめさんも遂には根負けして、結局ランスロくんは最高の騎士だなあ…と思う。

「心が承知しないのだ。騎士は心をひとつしか持っていないのであるが、それも今は他人に貸し与えて、もはや自分の自由にはならないのだ。」

ハイパーウルトラ美女にも靡かない男!それがランスロット!でも条件付きなのを解った上で宿までついて行ったりするし、はじめは隣りで寝たり(いっさい口もきかないしむすめさんの方も見ないけど)してしまうから、結局おんなのこの気持ちを傷つけてしまうのでしょうね。おんなのこの気持ちを無碍にすることはしないけれど、最終的には自分の王妃様へのあいを優先してしまうので、最終的にはおんなのこに対して増してひどいことをしてしまうのだなあ。やさしさのために。時には突き放すこともやさしさなんですよ!知りませんけど!”いろいろな事件”として暴漢たち複数名とたたかうことにもなるのですが、肘で二、三人なぎ倒したりしているのでやはり彼はすごいのです。「さあ、束になってかかってこい。たとえ30人と7人とが(これはなにかの故事由来なんですかね、調べてみます)かかってこようと、たっぷりとお相手仕りますぞ」とまで言ってしまう。っょぃ。

 

 

・翌日は彼女といっしょに出発するけど、王妃さまのことで頭がいっぱいで、話に乗る気配もないランスロさん。その時たまたま見つけた落とし物の櫛が王妃さまのものだとわかって気を失いかける。あと櫛についていた髪の毛をもらう。

ランスロさん、アーサー王物語でもそうでしたが、気を失いがちです。あと、発狂もよくします。狂乱全裸森疾走編とかもそのひとつです。バーサーカーの素質が感じられますね(?)。でも気を失うというのは、彼の最愛の王妃ギネヴィアさんにもよくあることなので、この点においてふたりはよく似ているなあと感じます。理想とされる貴い身分や謳われるほどの最高の騎士ではありながらも、とても感情にふりまわされているあたりがとても人間くさくてわたしは好きです。でも櫛から王妃様の髪の毛を抜き取ってフフ…とにまにましながら何千回もふれたり、肌着の下にいれて持ちあるいたりするのはちょっとこわいと思うよ。それくらいうれしかったんですね。本当にこの人は王妃がだいすきなんだなあ…と思います。

 

 

・「誰もが件の騎士を自分だけのものにしておきたい」「本当のところ、すべての騎士が束になったところで、あの方ほどに美丈夫で気高い騎士は見当たらないであろう。」

べた褒めですね!!!主人公補正もあるのだろうなあとひねくれ者のわたしは考えたりもしますが、それにしてもすごいですね。このしばらく後に、一流の騎士たちが集まる騎馬戦に匿名で参加することになるのですが、その時もそこに結婚相手を探しに来た奥方たちを皆めろめろにしてしまいます。”この素晴らしい騎士とわたしとでは全く釣り合わないであろう、だけどこの人より素晴らしいお方とでないと今年一年間は結婚する気が起きない”、とまで思わせてしまいます。罪なおとこですね。ただ彼にそんな気は全くないし、最高の騎士として普通に生きているだけなので、仮にモーションをかけられたとしても申し訳なさそうにお断りをいれてしまうのだと思います。その気もないのに不本意ながら女性をすぐにめろめろにしてしまうあたりに少しディルムッドさん的な魔性さを感じますね。(実際ランスロさんが上司のお嫁さんと懇意になりごたごたが起こる、というシナリオは、フィオナ騎士団のあれこれから来ているという話があります。)

 

 

・「ランスロ!こちらを向いて!誰があなたのことを熱心に注視しているのか見てください。」「王妃に愛の奉仕を何度となくささげた。」

このセリフがなぜだかとても印象にのこっています。王妃ととらわれの人々の奪還をかけてメレアガンとランスロさんは決闘をすることになった際に、塔からその戦いを見ていた王妃によってランスロさんにかけられた言葉です。これを聞いてすぐにこの世でいちばん会いたいひとの姿を見つけて見ることができました。よかったね!この後の記述にはすこしわらってしまったのですが、王妃さまの姿を見つけると、塔と自分との間にメレアガンを挟み込むかたちをとって、王妃さまから目をそむけないで剣をふるうようになりました。メレアガンが後退しすぎて王妃さまの姿が見えなくなってしまわないように、押しとどめる努力なんかもしています。メレアガンにあまりに勝ち目がないので、このあと王妃さまにメレアガンのおとうさんが、ランスロが剣をふるうことをやめさせる話をもちかけるのですが、王妃さまがそれに賛成するそぶりを見せた途端、ぴくりとも動かなくなってメレアガンにふれることもやめてしまいました。「すぐにすすんで意中の人に気に入られることをした。」です。わかりやすいし単純だし本当に王妃さまのことがだいすきなんですね。かわいいです。なんでふたりは王妃とその王につかえる騎士の関係なんですかね?!?!!!(突然のつらみ)

 

 

・見事勝利したランスロさんにつめたく当たる王妃さま。そのわけをお尋ねする勇気もございませんと言うランスロさん。涙をいっぱいためて王妃さまをお部屋の前まで眼と心とでお見送りしました。「王妃がわたしに合うのも言葉をかけるのもお気に召さないのです。それがわたしには大変つらいのです。」

つらいな…だいすきなのにね……(ランスロさんの王妃だいすきっぷりをこれでもか!と見せられてきたので完全に同情してしまいました。)。理由はあとからわかるのですが、この時にとった冷たい態度があとあとにふたりを苦しめることになったりならなかったりなったりします。ここで「お尋ねする勇気もありません。」って言ってしまうところがランスロさん。でも、愛するひとになぜ自分をきらうのか聞く、だなんてそんな恐ろしいことできないというのはよくわかります。騎士というよりもひとりの男として、愛の神にとらわれているのを感じますね。

 

 

・ランスロさんが捕らえられて殺されたという噂が王妃さまの耳にはいるとあやうく自殺をしかけてしまう王妃さま。いたく心を乱してはほとんど口もきけなくなってしまう。自分の首を何度もしめようと試みた。

王妃さまが亡くなったといううわさが今度はランスロさんのところに。馬の鞍にベルトのはしをくくりつけてもう片方のはしでわっかをつくり落馬自殺を決行するも、近くにいたひとに助けられる。それからは監視下におかれる。「苦しみはまことに耐えがたいもの、いや、致命的でさえある。それが神様の思し召しに適うならば、この苦しみの果てにいっそ死んでしまいたい。」

似たもの同士だ…。そして似た者同士といえば、ふたりとも悲しみのあまり嘆きちらかすんですけど、二段構えの小説の一ページ弱を使った長セリフで嘆きちらかすんですね。あと王妃さま、あんな風に命をかけて自分を救ってくれたひとに対してツンケンッてしてしまったりもしているんですけど、「その方が生きていてこそ自分も生きていた当の相手」とランスロさんのことを言っていたりもするので”愛の神”の加護をわたしは感じました…。ランスロくんはその長セリフ嘆きのところで、「王妃さまがわたしを憎んでおられる素振りをしたときにすぐに死んでおくべきだったのだ。」とまで言ってしまっています。貴方はすぐに考えすぎるところがあります。生真面目でよいとは思いますが精神衛生上あまりよくないのではないでしょうか。出過ぎた意見を失礼致しました。(誰?)

 

 

・結局誤報だとわかり、王妃さまと再会することが出来ました。みんなの居る空間でふたりこっそりと、「ここでは申し上げたいことも十分に申し上げられません。できればもっとゆっくりお話ししたいのですが。」などと言って密会のお約束をします。

ここさ~~~~~~~「うきうきして別れた。」って書いてあってヒッジョーーーーにかわいくてかわいくて悶えました。わかりやすくてかわいいね。その後、お外でこっそり王妃さまのお部屋の窓辺に行くまで待機しているんですけど、ここで「くしゃみもこらえて静かに待った。」と描写されていてこどもか~~~~?!かわいい…と思いました。このあたりから大人の雰囲気に突入します。推しのこういうときって、あんまりのぞき見してしまうのもよくないかなあという気もちと、いけないものを見てしまっているようなフフフ…という気もちとが全面戦争になりますね。なりませんか。

 

 

・「あなた様のおそばにゆくためなら、あなた様を覗いてわたくしを引き留めるものは何もありません。」鉄格子に取りついたりゆさぶったりして曲げちらかすランスロさん。「どんな聖遺物も彼女ほどに尊いものはなかった。」「今度こそは、ランスロはのぞめるだけのものはすべて手に入れることができた。」

バスターゴリラか?!かたい鉄格子でさえもふたりの前ではただふたりの愛を盛り上げるためのスパイスにしかならないのであった…。ランスロさんはこのときにお手手をめちゃくちゃにケガしてしまって、共寝をした際にギネヴィアさんのベッドを赤く染めることになります。えっちですね。いやお前が純白のシーツに血を流す側なんか〜〜い!ランスロさんは純潔のおとめかなにかなんですかね。愛の神も、にっこりしながらえっちなことを描写するなんて野暮なことはしないよ!と言っていました。今度こそはのぞむものをすべて手にいれられたランスロさん、このときが続けばいいのになって思ったりしたのかな。夜が明けなければいいのに、なんて。ランスロさんに非が無かっただなんて言うつもりは全然ないんですけど(やさしさがありあまって優柔不断気味なところだとかとにかく愛に生きすぎているところだとか諸々の原因があると思います)、この先のことやアーサー王物語全体のことだとかを思うとつらいですね。朝になって王妃さまのベッドから去るときは、目になみだをいっぱいためて、断腸の思いだったそうです。庭に出て、振り返って王妃さまのお部屋に向かって拝んでから自室に帰ったそうです。推しを拝んでしまうところはわたしたちとも似ていますね。それほど尊い時間だったんだなあと思いました。その反面、これで明確に超えてはならない一線を超えてしまったのだな、と思いふるえるような気持ちもありました。セウトがアウトになる瞬間を見てしまいました。ちなみに鉄格子はちゃんと元通りにしたようです。えらいですね。

 

 

アーサー王の宮廷に戻ったガウェイン卿、アーサー王からこの度のはたらきを褒められるけど、これはランスロの行ったことです、「褒められるべきはランスロです。」と言う。

素直~~~~!!いつも落ち着いているし、友人には優しくだめなことをしてしまっている時には諫めることができ、ひとの手柄を横取りしたりしないガウェイン卿はほんとうに素直だし良い人だなと思いました。そんなガウェインさんが王の意見もむしして激情にかられてしまうようになる処刑場兄弟殺人事件(犯人:湖の騎士)は本当に彼にとって大きかったんだなと思います…。王様にたてつくことなんて無かった温和で忠義にあついガウェイン卿が…。

 

 

・「奥方、わたくしがあなたに差し上げれる愛はすべて約束します。」

クソ~~~!!!!!!おまえは~~~!!息をするように!!そういうことを言うから!!あかんねん!!!!!!!!とキレそうな気持ちにならなくもなかったです。うそですなりました。キレました。そういうとこやぞ……。わかるか…わかるかランスロさん……シャロットの乙女も真っ青だよ……。でもこの時の奥様の、「今のところなにもいただけないということですね。」という返しが素晴らしかったのでよかったです(語彙力)。この後のランスロさんの返しとか奥方との会話とかから、悪気も悪意も他意も本当になかったのだろうな、息をするようにこういった表現を用いたのだろうなと思いました。全く…困ったお方だ……お戯れもほどほどに……。

 

 

・彼ひとりで最強の騎士20人に匹敵するくらいの圧倒的強さを騎馬試合で観客に見せつける。王妃から《できるだけまずく》ふるまえという言伝をもらったとたん、臆病者の不フリをしたので騎士たちからもばかにされた。その後《りっぱに》と言伝をもらうとすぐに元の最強の騎士としてふるまった。

王妃さまのいいなり~~!愛の神に完全に踊らされていますね。かわいいですね。「王妃様の気に召すことなら、わたくしにとって嫌なことは何一つありません。お妃さまの喜びは何事であれわたくしの喜びです。」とまで言っていました。これには王妃さまもにっこり。王妃さまは王妃さまでこれを見て満足そうだったのでかわいいなあと思いました。

 

 

・塔に幽閉されて死にたくなるランスロさん。なんでガウェイン卿はたすけに来てくれないんだ?!と嘆く。

塔に幽閉とかラプンツェルか…と思ってしまいました。毎日おいしくないパンを配給されていたのだそうです。最終的にはガウェイン卿を非難するのは筋違いだと考えを改めてはいましたが、「ガウェイン殿…あれほど尊敬に値し武勇に置いて並ぶ者のない貴殿が、その貴殿がなぜ助けに来てくれないのか理解し難い。かつてあれほどの友情を示したものに対して・・・(省略)もし逆であればわたしは助けに行くであろう・・・(省略)」とぐちぐち嘆きちらかしています。アーサー王物語の終盤で、ランスロさん陣営と王・ガウェインさん陣営とが対立していたことや激情に駆られるガウェインさんのことが印象として強く残り、まるでふたりは仲が悪かったかのように思ってしまいがちですが、決してそうではないんですね。むしろとても尊敬しあっており、仲も良かったのだなと思いました。その分、ふたりが対立してしまうことの悲しさが際立ちますね。あんなに一緒だったのに、夕暮れはもう違う色なんですね。以前にランスロさんが助力してあげたあるお姫様の力を借りて、なんとか脱出をすることができました。乙女に抱き留められるほどよわっていたランスロさんですが、しっかりと休養をしたことで「天使にも劣らぬ美丈夫」にもどったのだそうです。

 

 

・ランスロさんの帰還!「この時とつぜんランスロが天から降ってきたほどの不可思議な奇跡がおこったように見えた」。「なんというよろこび!なんという満足感!」駆け寄って抱きしめキスをするガウェイン卿。

オレは王妃さまをかけてランスロとしか決闘しね~からな!と言い張るメレアガンに、行方不明のランスロの代わりにわたしが受けて立ちましょうと決闘に臨むガウェインさん。決闘直前、ランスロさんが帰ってきました!馬から降りて両腕を広げて駆け寄り、抱擁してキスをしてくれるガウェイン卿むちゃくちゃかわいいですね…?!本当にうれしかったんですね。感情表現がすなおでかわいいです。「ランスロを再び失うくらいなら、ガウェインは王位もすぐに拒絶しただろう。」とその後に続くので、すごくあつい友情と親愛を感じました。妙な意味ではなく。ちなみにこの時王妃さまは、分別が愛の神にも勝っていてしずかにしていたけれど、こころの中ではハグとキスの雨だったそうです。この決闘ですが、ランスロさんへ、貴方への贈り物にしたいとガウェインさんがそのまま参戦したいと言うのですが、結局はそのガウェインさんの鎧を借りてランスロさんが決闘に挑むことになります。つくづくガウェインさんは良いひとだなと感じます。

 

 

・「さあかかってこい。いささかも手加減をするつもりもないことを承知するがよい。」

FGOの開幕時セリフでも手加減ということばを遣っていましたね。どちらも格好いいと思います。ここのセリフだけに言えることではないのですが、少し昔の翻訳本であるからか、時たま武士のような口調になっていることがあってくすりとなってしまいます。そもそもとして、この頃の騎士という概念について学ぶ必要があるなと感じました。ケルトにおけるゲッシュ的拘束概念もあるようですし、”愛の神”とも相容れなさそうですし、なかなかに生きづらそうな道だなと思っていますいまのところは。

 

 

かいつまんで感想をチョロッと言っておこうというつもりだったのですが、予想よりもはるかに長文になってしまいました。現在9606文字だそうです。お目通しありがとうございました。そして大変おつかれさまでした。とにかく、王妃さまのことだけが大好きで、王妃さまのよろこびためならば何だって出来てしまう、チョッピリ情緒不安定な最強の騎士、それがランスロさんなんだな、とわたしは感じました。この本を読む限りでは、ふたりはお互いに好き合っているし、その愛もお互いにとても強いので、本当に「王妃とその王に仕える騎士」という関係性だけが悔やまれました。はじまる前からふたりの結末は破滅的にしかなりえないもの。悲しいですね。まあこういった三角関係や宮廷愛(不倫)を描くために後から付け加えられたキャラクターであるという説が濃厚なので、仕方がないっちゃ仕方がないんですけどね。どうしようもないことを言ってしまえば。

 

それにしても、やたらと最強なところとか、息をするように紛らわしい言い回しをするところだとか、王妃さまのためならなんでもしちゃうぞ!ってところだとか、物思いに耽りすぎてひとの話を全然聞かなくなっちゃうところ、あとは色んなひとを立てようとして優柔不断気味な選択をしてしまうところだとか、ランスロさんのやわらかな面を色々と見て知ることが出来たのでとってもよかったです。ぜんぜん完璧ではないけれど、人間味にあふれたかわいいひとだなと思いました。そこまで長編の作品でもないので、興味があればぜひ読んでみてください。現場からは以上です。

 

だらだらっとした感想にお付き合いくださりありがとうございました。